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CS60 NEWSLETTER VOL.386

2026/09/03

  • Newsletter Vol.386

    CS60 INTERVIEW 失語症の方の代弁者に。 光川 友季子さんインタビュー
  • 光川友季子さんは奈良県山添村で、サロン『スペース にこ』を営んでいます。言語聴覚士という職業柄、主に失語症の方のリハビリや、まだ十分に知られていない失語症についてわかりやすく伝えるための発信も行っています。周りの人の理解が進むと失語症の方々も生活しやすくなる。そこで、CS60はどのような役割を果たせるのでしょうか。

    – 光川さんは、特に失語症の方のリハビリに尽力されていますね。失語症は後天性であり、脳卒中などによって脳の言語機能に関わる部位が損傷されると発症するそうですね。皆さん一番何に困っていらっしゃいますか?

    光川:一番は、「伝えたいことがあるのに、思うように言葉として表現できない」ことだと思います。

    – 思うように言葉にできなければ、相手に自分の思いをわかってもらうのはなかなか難しくなりますね。

    光川:症状が重い場合には、唸るような声は出ても「あ」や「い」というような一音すら言えなくなることもあります。それまで当たり前に言えていた言葉が言えなくなるのは想像を絶する辛さだと思います。

    失語症といえば、言葉が出てこない、話せなくなる障害だと思われていることが多いですが、実は、一見すると話せているように見えるタイプもあります。ただ、話される内容が単語の言い間違いや、意味不明な言葉の羅列になっていて、流暢にたくさん話しているように見えても相手にはなかなか伝わらないのです。ご本人は話せている感覚をお持ちのことも多いのですが、相手の反応から、もしかして自分の話していることが理解されていない?自分はおかしなことを話している?と気づいた時に、大きな絶望感を抱いてしまうことがあります。今ほど周りの理解が進んでいなかった時代には、他の病気と誤解されて適切な支援につながらないケースもあったようです。

    – 周りの理解が重要ですね。

    光川:そうなんです。声が出ないとか話せない場合は、この人は話すのが難しいのかな、と分かってもらいやすいのですが。また、この話せるタイプの失語症では、相手の話を聞いて理解することも難しくなっているので余計に会話が噛み合わなくなってしまいます。というのも、相手の話す言葉の音を日本語の音として正しく識別することが難しくなっているからです。

    例えば、「猫」という単語は、私たちは「ネ」「コ」というように2つの音として聴き取りますよね。しかしこのタイプの失語症の方は、「ナエカウオ」というようにもっとたくさんの音として捉えて聴いていると考えられています。

    – 捉え方が全然違いますね。音が聴こえてもどういう意味か、分かりたいのに混乱してしまいます。

    光川:「ナエカウオ」と聴いて「猫」は思い浮かびませんよね。そのように相手の話す言葉を聴いているとなると、話全体を理解するのは当然難しくなります。脳には、言葉を話すように指令を出す部位と言葉を聴いて理解する部位がありますが、聴理解を担当している部位が損傷されるとこのようなタイプの失語症になります。

    – 脳のどの部位が損傷されたかで失語症のタイプが異なってくるのですね。タイプによって訓練内容も違うのですか?

    光川:はい。まずは検査を行い失語症のタイプや特徴を把握します。一般的な失語症のリハビリでは、できなかった検査項目、つまり症状そのものへのアプローチをすることが多いですが、私は、それぞれの失語症タイプに応じた根本的な原因にアプローチする方法を行っています。いわば対症療法ではなく、原因療法です。

    一般的に失語症は、発症から時間が経つと回復が難しいと言われているのですが、この原因を解決していく方法では、今まで改善が芳しくなかった方にも改善の可能性があり、発症から20年近くの間、ほとんど話せなかった方が少しずつ話せるようになったこともありました。もちろん簡単ではありませんが、希望があると思います。そこにCS60をプラスして、心身ともにリハビリに取り組みやすい状態を整えることで、更によい結果につながるのではないかと思っています。

    今まで話せなかった方が少しずつ話せるようになると、やはりとても喜ばれるので、それが嬉しくて。その伝えられる・伝わる喜びをご本人やご家族と一緒に分かち合えることが言語聴覚士の醍醐味だと思っています。これからも失語症の方のお役に立てるよう取り組んでいきたいと思っています。

    (おわり)
    ※光川さんは、個人だけでなくチーム『CS60 Rehab Careplus』でも活動されています。その内容は、vol.389でご紹介します。お楽しみに!