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CS60 NEWSLETTER VOL.

2026/03/12

  • Newsletter Vol.361

    CS60ニュースレター 歌いながら整える――これからの私のかたち 山口陽子さんインタビュー(第4回)
  • 数々の体験を経て、山口陽子さんがたどり着いたのは、「治す」ではなく「整える」という視点でした。家庭と介護を両立しながら、自宅でのサロンを構想する今。最後に語ってくれたのは、思いがけない「歌う施術」のアイデアでした。

    ― これからは、どんな形で続けていきたいと考えていますか。

    山口:今は、介護もありますし、大きく構えるというよりは、自宅で予約制のサロンのような形でやれたらいいなと思っています。義母が高齢なので、すぐそばにいられる環境で。二階の部屋で施術をして、何かあればすぐ駆けつけられるような、そんな距離感がちょうどいいなと。

    ― 家族を大事にしながら施術をしていくと。

    山口:はい。それが今の私の優先順位です。西村先生のように全国を飛び回ることはできません。でも、目の前の人を丁寧にみることはできる。
    そして、自分なりのスタイルでやりたいと思っています。

    ― これまでのお話を通して、山口さんが大切にしているのは「自分らしく生きる」ということのように感じました。

    山口:施術をすると、夢を語り出す人がいるんです。「実はこんなことをやってみたかった」とか、「本当はこう思っていた」とか。体の話をしているはずなのに、人生の話になっていく。だから私は、「その人がその人に戻る時間」なんじゃないかなと思っています。もちろん、すべてがうまくいくわけではありません。
    進行した状態の方の場合、施術がとても強い刺激になってしまうこともあります。そのときは、「やらないほうがよかったのかもしれない」と考えることもあります。

    ― 迷いもありますか?

    山口:もちろんあります。でも、「あったかい気持ちになった」「なんだか軽くなった」と言って帰ってくださる方がいる限り、続けたいと思っています。

    ― 山口さんのサロンの特徴や施術のスタイルはありますか?

    山口:実はこれから、「歌う施術」ができたらいいなと考えているんです。

    ー歌う施術? それはどういうものですか?

    山口:私が歌ったり、一緒に歌ったりするんです。始めたきっかけは、あるおじいさまとの出来事でした。足のしびれがなかなか取れないとおっしゃっていた方で、お話を聞いていくと民謡が大好きだとわかったんです。それで、「一緒に歌いましょうか」と言って、民謡を歌いながら施術をしてみました。

    ― 何を歌ったんですか?

    山口:リクエストをいただいて、民謡を何曲か一緒に歌って。もう、めちゃくちゃ楽しかったんです!お互いに笑って、声を出して。その場の空気がぱっと明るくなりました。

    ー楽しく歌えたら、それだけで元気が出ますよね。

    山口:それ以来、時々「好きな曲を教えてください」と聞いています。
私はだいたい何曲かは歌えるんです。三曲くらい挙げてもらえれば、どれかは知っているかな、と。

    ― 山口さんは、シャンソン歌手でもありますからね。

    山口:そうなんです(笑)。施術って、どうしても静かにやるものというイメージがありますけど、私は「楽しい」もあっていいと思うんです。歌いながら整える。体だけじゃなくて、気持ちも一緒にチューニングする。
    そういう時間をつくれたらいいなと。

    ― 素敵です。最初は高速バスの偶然から始まった物語でしたが、今はずいぶん遠くまで来ましたね。

    山口:本当にそうですね。あのとき、仲小路先生の話を聞きに行ったはずが、おかみさんに「もっとすごい人がいる」と言われ、厨房から西村先生が出てきた。
    もしあの瞬間がなければ、今の私はいません。

    ー会うまで2年間かかったと仰っていましたが、すぐに行っていたら、西村先生には会えなかったかもしれないですね。

    山口:偶然のようでいて、どこか必然だったのかもしれませんね。

    ーそんな気がしますね。では、最後に、今後の目標を教えてください。

    山口:今は「何か大きなことを証明したい」というよりも、目の前の人が少しでも自分らしくなれる時間をつくれたら、それでいい。帰るときに、「なんだか元気が出た」と言ってもらえたら、それで十分。そして、もしそのとき一緒に歌えたら、もっといいなと思います。

    ―素敵ですね。ぜひ、これからも続けていただきたいです。ありがとうございました。

    (おわり)